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透析患者への食事指導 わかりやすく伝えるために看護師が知っておきたいこと

透析患者さんへの食事指導って難しい。あれこれ制限することが多いから、わかりやすく伝えないと患者さんやご家族に理解してもらえないし、守ってもらうのも難しい。制限ばかりを気にしてエネルギー不足や栄養不足で痩せてしまう患者さんも多いみたい。わかりやすく受け入れやすい透析患者への食事指導を知りたいな。

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透析患者への食事指導ポイント
透析患者への食事指導として大切なのは、「水分」「塩分」「カリウム」「リン」の摂取量を抑えることと、適切な「たんぱく質」「エネルギー」の摂取による体重維持です。

水分制限のポイント
飲み物として摂取する1日の水分量は、500〜600mlです。こまめに摂取しても量を把握しやすいよう、1日分を水筒やペットボトルに入れ、そこから飲むようにしましょう。冷たい飲み物よりも温かい飲み物の方が量を減らしやすい傾向がありますが、夏場など冷たいものを口にしたい場合は、水や麦茶を凍らせたものを活用しましょう。

塩分制限のポイント
塩分の多い調味料は控えめにし、レモンや酢などの酸味や、からしなどの香辛料で味にアクセントをつけるように心掛け、しょうゆやソースは食品にかけずに小皿に入れてつけるようにしましょう。減塩調味料はカリウムが多く含まれている場合がありますので注意し、腎臓病用の調味料を活用されると良いでしょう。
一般的に外食や加工品、麺類のつゆ、漬物には塩分が多く含まれているので注意しましょう。

カリウム制限のポイント
カリウムはほとんどの食品に含まれていますが、特に「果物(ドライフルーツを含む)」「野菜(野菜ジュースを含む)」「イモ類」などに多く含まれています。果物は缶詰を(シロップをのぞいて)、野菜は茹でたり水にさらしたりしていただきましょう。

リン制限のポイント
タンパク質不足とならないよう、タンパク質のなかでもリンの含有量が高い食材に気をつけます。
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や、ハムや魚肉ソーセージなどの肉加工品、ししゃもやしらす、うなぎなど骨ごと食べられる魚類、たらこ、いくらなどの魚卵、木綿豆腐は、たんぱく質量に対してリン含有量が高いので控えましょう。

摂取エネルギー量の確保
1日に必要なエネルギー量は、標準体重1kgあたり30〜35kcalです。(血液透析患者の場合)
たとえば身長160cmの場合、標準体重は56.3kg(1.6m×1.6m×22=56.3kg)なので、必要なエネルギー量は、約1,700〜2,000 kcal(56.3kg×30〜35kcal)となります。
食事制限によるエネルギー不足を補うためには、ゆで卵より目玉焼きやオムライス、白米よりチャーハンやピラフなど、油を使った料理にすることでエネルギー量の確保へ繋がります。

摂取タンパク質量の把握
1日の適正なたんぱく質量は、標準体重1kgあたり0.9〜1.2gです。
たとえば、身長160cmの方の場合、標準体重は56.3kg(1.6m×1.6m×22=56.3kg)なので、適正なたんぱく質量は、約50〜70g(56.3kg×0.9〜1.2g)となります。
目安としては、鶏むね肉(皮なし)なら1枚分、卵なら10個分、まぐろ刺身(赤身)なら10〜13枚(200〜260g)にあたります。

制限を開放する日を定める
食事は本来できるだけ楽しんでいただきたいもの。食事制限が辛い場合は敢えて制限を開放する日を定めるとよいでしょう。定期的に月1〜2回や、記念日など好きなものを食べる日を設けます。透析と透析の間が2日間空いてしまう日よりも、翌日が透析の日の方が安心です。生のフルーツなら透析当日の朝がよいでしょう。開放する日でも摂りすぎには注意しましょう。

透析患者さんの食事指導は、具体的な例を出して説明するのが良さそうね。普段、よく食べているものや好きな食材を把握し、目安分量や調理法をお伝えし、実践しやすいアドバイスを心がけるようにするわ。

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